江戸初期創業 箱根温泉旅館 大和館 / (有)大和館(代表取締役・十五代目女将) 安藤友江さん

江戸初期創業 大和館(十五代目女将)
安藤 友江さん

たくさんの人の笑顔のために
幼少期からの志をいまは箱根で

山口県出身、神奈川県箱根町在住。沖縄の大学在学中に台湾へ1年間留学。
サービス業を営んでいる家族の背中を見て、おもてなしに魅力を感じ、2009年4月にリゾートトラスト株式会社へ入社。最初の勤務地はグランドエクシブ初島クラブ。 ホテルのオープニングに強い関心を持っていたため、翌年2010年にはエクシブ箱根離宮のオープニングスタッフに携わることに。
ここから箱根での生活が始まる。
2015年に箱根出身の大和館のご子息と結婚し、二児の母となる。出産後もリゾートトラスト株式会社での勤務を続けていたが、2022年4月に退職。その後、有限会社大和館での業務を開始し、2023年3月には代表取締役に就任。現在は、箱根観光ガイド協会、箱根温泉旅館ホテル協同組合青年部、箱根プロモーションフォーラムに加盟し、箱根町の発展に尽力している。
大和館 安藤さん 書道教室の様子

箱根を訪れる人・暮らす人のために
多彩な趣味が活躍の場を広げる

書道家でもある安藤さんは、5歳から始めた書道の師範資格を持ち、旅館業の傍ら、看板やPOPデザイン、命名書などの制作も手掛けている。
2023年春からは、旅館内で書道教室を開業し、書道を通じて筆文字の魅力を伝えている。また、大学時代に所属していた沖縄の伝統芸能・エイサーも続けており、フラダンスなど多彩な趣味も持つ。
箱根に移住後、取得した箱根DMO公認観光プロガイドや温泉ソムリエ★★アンバサダーの資格を活かし、箱根観光のPRにも力を入れている。

仕事で出会った町、箱根
この地が繋いだ運命の出会い

大和館との縁は、旦那様との出会いから始まった。
小田原箱根商工会議所青年部が主催の街コンイベントに友人と参加し、そこで運命的な出会いを果たし、翌年には結婚。結婚式は盛大に行われたという。「親族はもちろん、沖縄時代のエイサー仲間や地元箱根のゲストも招待し、約200人の方にご列席いただきました。遠方からのゲストも多かったため、アクセスの良さと大きな披露宴会場が決め手となり『湯本富士屋ホテル』を選びました」。
披露宴では、ご主人が所属する箱根道中唄保存会の唄とともに地元の仲間が引く人力車で入場し、地元仲間の芸者さんの舞や、書道家である祖父の実演、沖縄の結婚式の最後に欠かせないエイサー演舞を仲間と一緒に踊るなど、特別な演出が数多く取り入れられた。この場所で家族や仲間と共に過ごした時間は、一生忘れられない大切な思い出となった。
湯本富士屋ホテルでの披露宴の様子

江戸初期創業 箱根温泉旅館 大和館 箱根最古の湯

歴史ある旅館の魅力を広く発信
十五代目女将としての決意

「大和館は江戸初期創業の歴史ある旅館ですが、まだ多くの方に知られていないため、まずはこの旅館と貴重な温泉の存在を広めていきたいです」と想いを語る。
「大和館の温泉は熊野神社の下にある『箱根七湯』発祥の源泉(惣湯)と言われる自然湧出型の源泉をかけ流しで提供しています。奈良時代に発見されたと伝わる箱根最古の湯で『後北条氏の足洗いの湯』『将軍家の献上湯』でもあります。源泉から約50mと近く、鮮度の良さが温泉の魅力を最大限に引き出しています。さらに、女性には嬉しい「美人の湯」。肌の不要な角質をとる働きが期待できます。大和館はこの湯を貸切で楽しむことができる唯一の旅館。今後は、その魅力を保ちながら新たなチャレンジにも取り組んでいきたいと考えています」と、コロナ禍をきっかけに改修工事や新規事業に着手した。

箱根で育つ子供たちが
地元に関心を持ち楽しく学ぶ場を

「娘にも友達が増えてきて、せっかく箱根に住んでいるので、以前宮ノ下にあった温泉小学校のように、子どもたちが楽しく温泉を学べる場を作れたらと思っています。友達が旅館へ遊びに来た時には、プールのように温泉を使ってもらっています。娘も私も『かけ湯は足からやるんだよー』など話したりしています。」
なんと、女将の娘さんは、史上最年少4歳11ヶ月で温泉ソムリエに!温泉にとても関心を持っていて、ランドセルにソムリエ資格のステッカーを貼って通学しているのだそう。
「箱根で育つ子どもたちが地元に関心を持ち、魅力を外へ伝えられるような手助けができたらと思っています。現在、休館日を設けて、旅館で地元の子ども向けに習字教室を行っており、友人の英語講師の協力を得て英語教室も同時開催しています。今後は温泉セミナーや箱根ツアーガイドなどを通じて、地元の子どもたちが箱根に興味を持つきっかけを提供できたらと考えています。」女将の熱い思いが溢れる。
「長女が年長の時にクラスで絵手紙教室の講師をする機会をいただきました。講座が終わってからも、子どもたちが絵手紙にはまり、何枚も筆を使って絵や文字を描いていたそうで、とても嬉しかったです。温泉の授業やガイド付きの課外活動もできたら面白いですね」と笑顔で語る。
史上最年少4歳11ヶ月で温泉ソムリエの資格取得

江戸初期創業 箱根温泉旅館 大和館 お部屋

「人を喜ばせるプロになりたい」
だからホテルの道を選んだ

山口県を中心にサービス業を営む家に生まれ育った女将は、子どもの頃から「仕事はなんのためにするのか、世のため人のためにするのだ」という教えを大切にしてきた。
「『人を喜ばせる接客のプロになりたい』という想いが強かったので、キャビンアテンダントなども考えたのですが、台湾留学時にホテル・レストラン学科の先生から『家業も飲食店を経営しているし、空飛ぶのはもったいない。飲食もあるし、色々なことにチャレンジできるホテルがいいのでは』とアドバイスをいただいて、ホテルの道を選びました。」

また、エクシブ箱根離宮時代に出会った上司の存在が、今でも大きな影響を与えていると語る。
「入社3年目に企画へ異動しました。当時、私の上司だった営業支配人は人脈を広げることが上手な方で、さまざまな場所に連れて行ってくれました。休みの日には箱根・小田原エリアのまち歩きツアーなどにもよく参加させてもらい、その頃に多くのご縁が生まれ、現在の大和館女将としての活躍に繋がっています」。女将の想いが多くの方に届き、大和館はこれからもたくさんのお客様の笑顔であふれることだろう。
江戸初期創業 箱根温泉旅館 大和館 多目的スペース

江戸初期創業 大和館

住所 神奈川県足柄下郡箱根町湯本655
公式サイト https://hakone-yamatokan.jp/
公式Instagram https://www.instagram.com/hakone_yamatokan/