Art de Vivre [アール・ド・ヴィーヴル](理事長)萩原 美由紀さん

Art de Vivre [アール・ド・ヴィーヴル](理事長)
萩原 美由紀さん

障害があるすべての人が
じぶんらしく生きるために

三重県鈴鹿市出身。ご結婚を機に小田原へ移住。
1996年第一子にダウン症がある赤ちゃんを授かり、県西地域に住むダウン症の赤ちゃんと保護者のサークル「ひよこの会」に出会い、ボランティア活動に参画。
2001年よりJDS日本ダウン症協会小田原支部を発足、初代会長に就任。2006年小田原市特別支援教育推進委員に。
市内公立小中学校の特別な配慮が必要な児童生徒たちの教育を考える協議会委員として参画。2011年から2019年まで、小田原市教育委員任命される。
2013年NPO法人アール・ド・ヴィーヴルを設立。障害があっても自分らしく生きる環境と提言を発信。
2022年12月、社会福祉法人アール・ド・ヴィーヴル設立。アール・ド・ヴィーヴルの由来はフランス語で「自分らしく生きる」。どんな障害があっても、自己選択してチャレンジできる、そんな成熟した社会の実現を目指している。
Art de Vivre [アール・ド・ヴィーヴル]の作品

小田原との出会い
新しい生活のはじまり

ご実家は、F1レースが開催されるあの有名な鈴鹿サーキットの目の前でレストランを経営されており、現在も妹さんご夫婦が引き継いでいる。
萩原さんご自身は19歳の頃から鈴鹿でレースクイーンを、その後はモデルのお仕事もされており、その流れで東京へ出ることに。そして東京で旦那様と出会う。
その旦那様のご出身が小田原だったことで、ご結婚を機に小田原へ移住。ご結婚1年目に授かったお子様がダウン症の障害があり、同じ境遇の親御さんたちとひよこの会で出会うことになる。
当初とてもショックだった萩原さんだが、先輩の方々とお話をしていくうちに本当に気が楽になり、それ以来積極的にボランティア活動をするように。

すべての障害者が
豊かな日常社会を暮らせるように

2002年にひよこの会会長に就任後は、自ら学校・役所・自治会、そして医療関係などの方々へひよこの会の認知活動を行った。
彼らの日常をもっと知ってもらうことで、彼らが豊かな日常社会を暮らせるようになると信じて。より多くの人に存在を知ってもらうために、12年間さまざまな取り組みも行ってきた。
地域の行事に参加したり、フリーマーケットやイベント、映画上映会なども開催。すべて最初からこういうことをやろうと思っていたわけではなく、「彼らが大人になったときにどんな環境がいいかな?」と考えたときに、みんなの個性を引き出せる場所がつくれたらハッピーだろうな、というのがベースにあるのだ。
Art de Vivre [アール・ド・ヴィーヴル]の作品

Art de Vivre [アール・ド・ヴィーヴル]の作品

アール・ド・ヴィーヴルの誕生
「自分らしく生きる」を支援

ひよこの会に出会い、ボランティア活動から始めた支援事業。「長い活動期間で本当に多くの人に出会い、助けられてきた」と萩原さん。
「表現することは生きることそのもの。どんな障害があっても表現する喜びを味わってほしい」と、すべての障害者がそれぞれ好きなことができるようにするためにはどうしたらいいか、たくさんの施設見学に行き、仲間たちとディスカッションを重ね、思い描く施設を「自分たちでつくろう!」とみんなで一大決心。アール・ド・ヴィーヴル誕生です!

この施設ではみんなのチャレンジしたいを一つ一つ実現。
それらは、アート・ヨガ・英会話・織物・料理・陶芸・フラダンスなど、多岐にわたるが、萩原さんはすでに次のステップを考えている。
「親御さんたちが歳を重ねていくことを考えると、メンバーも若いうちから一人暮らしを経験する必要があると感じてるんです。今後はそれを経験できる場所を提供したい」と。
Art de Vivre [アール・ド・ヴィーヴル]のパッケージデザイン

アート作品を通して
社会や人とつながる

2012年に障害者アートの第一人者、中津川浩章さんとの出会いがあり、アートワークショップがスタート。
中津川さんの指導は、直接的に教えるのではなく、メンバーと対話しながら本人の創作意欲を搔き立て、どんどんおしゃれなアートが生み出されていくという、まるで魔法のような指導法なのだそう。
Art de Vivre [アール・ド・ヴィーヴル]の作品

Art de Vivre [アール・ド・ヴィーヴル] ポチ袋など
言葉ひとつでメンバーの変わる姿に萩原さんは感動。
施設では毎日100点以上の作品が生まれる。それらアート作品は原画のリースを主軸に、名刺制作サービス、便箋やポチ袋など様々な商品へと採用され販売されている。
中津川さんの言葉だが「大胆な色使いや構成、驚くべき発想、人並外れた集中力、今まで見たこともないようなオリジナリティがある形式など、いわゆる定型発達の人間では表現できないアート作品が日本各地の表現活動をしている福祉施設から生み出されている」のだ。

Art de Vivre [アール・ド・ヴィーヴル]の作品

アートが引き寄せるご縁
エネルギーの共有

アールメンバーのアート作品は今や約50社ほどの企業がリースしており、カフェや病院・役所・企業などのエントランスや会議室など多くのゲストの目に触れる場所に飾られている。
彼らのアートには場を充電するようなエネルギーがあるのだそう。提供するのはすべて原画。彼らのデザインと原画がもつエネルギーを最大限活かすため、額は特注で目地を活かした木枠のボックス型の額で立体的に見えるよう工夫されている。
リース交換には作者も同行し交換作業も行います。社会の中で自分のアートがどのように受け入れられているかを体感できる機会はとても貴重で、一人の社会的な人間として認知される喜びや誇りは次の仕事に向かうさらなる力を与えてくれるのだ。

街のサイズがちょうどぴったり
心地よい暮らしができる喜び

ご自宅もアトリエも小田原市内の萩原さん。現在のお仕事をすることになって、小田原という場所に来た意味や縁を感じているという。
旦那様もお父様他界後に異業種から転身でゼロからお父様のお仕事を継がれており、萩原さんも小田原へ来てから子育て・障害者支援など新たな一歩を踏み出しており、エネルギーの塊のようなご夫婦。
お仕事でお忙しい萩原さんにリフレッシュ方法などを伺ってみると「美味しいものを食べるのが一番幸せ!」と笑顔がこぼれる。「あとは温泉。小田原は車で15分で箱根の温泉にふらっと行けるのが本当に最高で大好き!持続可能な地球のエネルギーを温泉からいただいている感じがする。それに海も近くて、海を眺めているだけでも癒されます」と。
Art de Vivre [アール・ド・ヴィーヴル]

Art de Vivre [アール・ド・ヴィーヴル]に併設されているカフェ
それから「人とのご縁」をとても感じるのだそう。
「アートをきっかけにアトリエに来られる方、それをきっかけに人生が変わる方など、多くの縁をこの小田原で感じてきた。小田原は知り合いがちょっと声かければいろいろな人と繋がっていたり、それがきっかけで話がスムーズだったり、都心などではありえない環境がある。
小田原の環境・箱根との距離、いずれも施設を運営する上でも暮らす上でも街のサイズが本当にちょうどピッタリな気がするんです」と小田原の暮らしを語ってくれた。
アトリエにはカフェも併設されているので、休日や平日の一息つきたい時にぜひ立ち寄ってみて。

Art de Vivre [アール・ド・ヴィーヴル]

住所 神奈川県小田原市久野403-17
公式サイト https://artdevivre-odawara.jp/